弁護士が児童相談所案件に対応します~一時保護直後のアドバイス、一時保護解除のサポート、児童福祉法33条・28条審判の代理業務
【お願い】初回お問い合わせは、メールでお願いします。
1.初回お問い合わせ方法のお願い(メール予約なしの電話でのお問い合わせに応じておりません)
児童相談所への対応について法律相談をご希望の場合は,メールで,①から⑩の基本情報を連絡してください。面談相談日等について、お送りいただいたメールアドレスに返信します。
なお、メールでの相談対応は行っておりません。電話相談は、遠方の方についてお受けする場合があります(その場合もまずはメールでご連絡お願いします。)。
法律相談は、対面相談、電話相談とも有料相談となります(初回原則11,000円(税込))
2.メールに書いていただきたいこと
① あなたのお名前、生年月日
② あなたのご住所、連絡先電話番号
③ 一時保護等されたお子さんの氏名及び生年月日(複数の場合は、全員書いてください。)
④ ③のお子さん及び保護者の心身の健康状態(障害の概要等)
⑤ 家族構成(あなた及び③のお子さんを除くご家族(例えば配偶者、一時保護されていない兄弟姉妹)の氏名と年齢)
⑥ 一時保護決定した児童相談所名
⑦ 一時保護された年月日
⑧ 一時保護の理由について、児童相談所の説明、無い場合は何か心当たりがあること
⑨ 児童相談所の説明(見立て)等に対する、あなたの意見・言い分
⑩ 一時保護後の概要等(児相職員と既に面会している場合は、職員の説明概要)
(例)児相職員と話をしたか、話をしたとすれば何回程度、まもなく会う場合は日時、一時保護は何回目か、以前から児相に何か相談していたか、すでに一時保護延長の打診や施設入所の打診はあったか、一時保護延長審判申立や28条審判など裁判所の手続きに移行している場合はそのこと、一時保護や施設入所以外に親権停止が問題となっていないかどうか、など
⑪ 法律相談(面談)の希望日時 できれば3日ほど、希望日時をお願いします(原則として平日10時~17時)。遠方の方は電話相談ご希望日。なお、法律相談は電話の場合も有料です(無料相談は行っていません。)。
メールは、
このホームページのメールフォームから、
または、直接
にお願いします。
3.時系列メモ作成のお願い
法律相談のため来所される場合は、一時保護決定書、時系列でまとめたメモなどを持参していただければ、効率的にご助言できます。
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児童相談所の業務、一時保護等についての一般的な情報
一時保護についての網羅的な資料としては、厚労省の「子ども虐待対応の手引き 第5章 一時保護」が非常に詳しいです。図表も含めて読むと、児童相談所による虐待対応の考え方(行為規範、判断基準)について理解でき、参考になるとともに、少々怖くなります。その他、次のwebなどが参考になります。
1.東京都が公開している「児童相談所のしおり」
児童相談所の業務全般について詳しく書いてあります。
2.児童虐待に係る児童相談所と市町村の共通リスクアセスメントツールについて
一時保護の際、児相がどんな点に着目しているのか、手がかりになります。
厚労省の資料です。一時保護日数などを知ることができます。一時保護に司法審査導入される場合の問題点等についての当局側の問題意識なども書かれています。
兵庫県の資料ですが、一時保護所の中のことについて、知る手掛かりになります。
最高裁判所の資料です。平成29年、28条審判の却下率はわずか5.8%です。
当事務所の業務(概要)
1.弁護士がお手伝いできること
親権者(保護者)も児童相談所も、子どもを思う気持ちは同じです。子どもは大切です。大事に育てたいと思っています。しかし、児相と親権者は基本的に対立します。
児相が子供を親から引き離したのだから、利益相反するのは当たり前なのですが、問題は「議論がかみ合わない」ことです。児相職員と親権者では、一時保護という制度に対する知識量が全く違いますし、親権者には見通しが持ちにくいし、目の前で起こっていることを理解するのも大変です。
弁護士が親権者側で対応する最大の利点は、まさに、かみ合わない議論を、何とか少しでもかみ合うように努め、児相と親権者とのコミュニケーションを正常化することだと思っています。
(1)児相との交渉の代理人業務
できるだけ早い段階(最善なのは親権者が児童相談所の職員と面談・協議する前)で、児相が気にするポイントをご説明し、事実関係の説明や子供に対する気持ちなどが児相職員に伝わるよう、打ち合わせをして助言します。
児相によく見せるのではなく、まずは、今起こっていることを理解していただけるように説明します。
もちろん、虐待が事実なら原因を考えます。十分に反省していただくとも求めます。今後の流れや見通しについても説明します。
全体像を分かっていただいてから、対応策を考えていきます。
また、依頼があれば必要に応じ、児相に弁護士名で書面を送る、児童相談所との協議に同席するなど、お子さんの家庭復帰をサポートします。
この段階(しかも初期の段階)が一番重要です。
(2)裁判所の手続きにおける代理人業務
親権者が一時保護の延長や施設入所などに同意しない場合、児相は,親権者の同意に代わる承認を求めて家庭裁判所に審判申立をします。
その手続きの代理人として、答弁書や意見書の作成、審判への出席、結論に不服のある場合の高等裁判所への即時抗告などの事務を代理人として行います。
ただし、児相案件は、裁判所の手続きに移行する前が大事だと思います。
一時保護解除のために大切なことと、弁護士の関わり方
Ⅰ 優先すべきは児相との話し合い
1.児相と争う姿勢を全開にすることは、(原則として)お勧めできません。
弁護士にご相談になる際、児童相談所と戦うモードになっておられることがあります。あまりよいことではありません。
お子さんが一時保護されると、児相は保護者に、一時保護の決定書を渡します。
その決定書には、決定を不服とする親権者のために、行政不服審査や取消訴訟についての簡単な説明が書いてあります(教示)。
児相の判断医同意できない場合、争うとすれば裁判所で!と考える方がおられます。しかし、お勧めできません。
もちろん、重要な点で明らかな事実誤認があるケース、つまり刑事事件でいう冤罪ケースでは、法的な対応が必要な場合が来るでしょう。
しかし、弊所は、一時保護直後に裁判手続で争うことはお勧めしていません。
理由は、現行制度上、法的に争う=裁判所で争った場合の効果が期待しがたい=負ける可能性が高いからです。
早期の家庭復帰を目標に、裁判所の手続きに移行する前の段階で、児童相談所と話し合う方が効果が高いです。
2.児相との交渉(話し合い)の重要性
(1) 法的紛争になる前の解決が現実的
① そもそも、行政機関である児相には、広範な裁量が認められています。
家庭裁判所で争った場合も、児相の言い分を全部認めなくても、結論として、「児相の裁量に逸脱はない」とされやすい傾向にあります。
②また、親権者が大変頑張って養育されているケースであっても、児童自身に、専門的な指導や医療措置などが必要な場合もあります。
こうした場合、児相の協力を得て、時間をかけて問題解決することが必要です。
誰が悪いわけでなくても、必要なことは必要です。児相と話し合い、家庭復帰後の生活環境に問題がない環境づくりを進めていく必要があります。
③ 裁判所で法的に争うのは、事実誤認がはなはだしく、間違った認識に基づいて施設入所措置をしようとしている場合や、事後に違法な面会制限について損害賠償を求める場合であると考えたほうがいいと思います。
(2) 児童相談所との向き合い方(基本的な対応)
① 一時保護直後の対応の難しさ
子供が一時保護された親権者の多くは、何から手を付ければよいか分からない状況になりがちです。
一方の親権者が気付かない間に、他方親権者(配偶者)がお子さんを虐待していたケースでは、離婚問題に発展することもあります。
全く解決の道筋が見えなくなることもあります。
② 児相職員の大変さをイメージすることも必要
児相職員は、非常に忙しいです。かなりの長時間勤務、時間外勤務をしながら、仕事をしています。出張や面談をした後、デスクワークも膨大にあります。
職員一人で数十人を担当し、忙しい中、次から次へと、既存案件と新規案件に対応しなくてはなりません。
限られた時間で、子どもを落ち着かせ、じっくりと話を聞かなくてはなりません。
親権者から話を聞くのは後回しになりがちです。
話を聞いてくれたとしても、基本的に、親は「調査対象」です。前提事実は、子供が発する言葉が基本です。
親権者が、「どうしたら、子どもを返してくれるのですか?」と尋ねても、明確な回答が返ってくることはありません。
一時保護期間中、特に初期には子どもとの面会はできません。
事実上、担当ケースワーカーの抽象的な不安感が払拭されない限り、面会制限が続きます。
親権者は、情報も入らず、児相からは疑いの目で見られ、何を話しても「現実を見ていない」「自己を正当化する」等と決めつけられるように感じます。
子育てに悩み児相に相談したことを契機に一時保護されるケースでは、児相に裏切られた気持ちになります。
児相に相談したばかりに、子供と引き離されたと思っている方は多いと思います。
③ 悪循環に陥らない
一時保護された後は、児相に対する疑念が膨らみ、反感が強まり、児相職員との冷静な話し合いが困難になっていくことがあります。
大きな声で児相職員に詰め寄る、頻繁かつ長時間電話をかけてしまうなど、することがあります。
児相職員から見れば、「自分を顧みることのできない親のいる家に、帰すわけにはいかない」となってしまうかもしれません。あくまでも児童目線ですから、帰宅させると児童の安全安心が確保できないと結論づけられてしまうリスクを高めます。
児相職員が作成する書類(報告書の類)にも、親権者のマイナス面が強調される可能性も高まります。 その資料は、28条審判の証拠資料として使用されます。 28条審判が却下になる可能性は低いです。高い確率で、施設入所が認められます。
④ 児相との接し方(基本的姿勢)
児相の職員は、いたずらに親子を分離しようと考えてはいません。
できるなら、早期に家庭復帰させたいと考えているはずです。
児相職員は公務員であり、件数を上げれば給与が増えるわけでもありません。
件数を上げて昇進したいと考える職員も、いないと考えていいと思います(児相は、そういった組織ではありません。)。
件数を上げれば国からの補助金が増額するからノルマがあると思っている方がおられますが、そのようなことを気にする職員は、まずいません。
予算、行革、監査などは、本庁の管理部門の一部の者が気にすることで、現場の一般職員には関係のないことです。
児相職員は、通報を受けた場合や、相談に来た親権者の話から一時保護が必要と判断した場合、「仕事として」動きます。
問題がある家庭で養育されている児童はたくさんいますが、行政が実際に関与するケースはごく一部、氷山の一角です。
役所には、「知ってしまったら関与せざるを得ない」面があります。
いったんケースにかかわると、児相の職員はマニュアル通りに、聴取項目を親権者に質問しています。
仕事として事情聴取するのですから、文句を言っても意味がありません。
児相職員の負担を増やすだけで、有利になることはあり得ません。
ですから、児相での面談、特に初回の面談では、まずは児相の職員の説明や質問に耳を傾け、話しを聞くことが大事です。
最低限、暴力を絶対に正当化しないこと、一時保護の理由について思い当たる事実を考えてみること、言い訳に終始せずふりかえって改善すべき点があれば改善する意思があることを示すこと(自分を振り返ることなく一方的に子供を返せと言わないこと)。
自分一人では解決できない場合は児相を含めた関係機関を頼り、子どもが家に帰ってくるための環境整備を検討しなければなりません。
児相職員の話が分かりずらい、何も分かっていないと感じることはあります。
児相からは、「長期にわたる不適切な親子関係の改善」など、抽象的で具体的に何をどう改善すればよいのか分からない、かえって混乱する助言しか得られない場合があります。
むしろ、その方が多いように見受けられます。
このことが、児相と親権者間がこじれてしまう原因の一つだと思われることがあります。
しかし、だからと言って話し合いを中断するのは、解決を遠のけます。
⑤ 弁護士の支援が効果的なケース
児童相談所は都道府県や市役所の地方機関の一つで、大きな組織ですから、人事ローテーションもあります。
職員にも様々な方がいます。民間企業と同じです。
ほとんどの職員の方は熱心で親切ですし、公平・冷静ですが、コミュニケーション能力や事務処理能力に、いささか問題がある職員がいるかもしれません。
熱心さのあまり思い込みの強い方がいるかもしれません。
人間同士なので、性格が合わないこともあります。
担当ケースワーカーは常識的な職員であっても、上司に問題のある場合もあるかもしれません。
また、組織はどうしても、一度決まった方針を変えにくいものです。
こうしたこともあり、いったん施設入所の方向に傾くと、早期の家庭復帰に向けた話し合いの余地が狭くなりがちです。
コミュニケーションがうまく取れないなど、悪い条件が重なると、児相と普通に話をすることすら、しんどくなってきます。
お子さんが急にいなくなって、冷静に対応すること自体が大変なのに、児相職員と円滑に話ができないと、疲れてしまいます。
児相との冷静な話し合いが難しい場合は、弁護士の関与が役に立つ場合があります。
⑥ 児相との交渉段階で、弁護士が介入するメリット
弁護士は、裁判をするだけではなく、様々な交渉をします。
損害賠償請求、債権回収などはもちろん、離婚事件や刑事事件の示談交渉などです。
弁護士が、児童相談所を相手方として行うことは、基本的に民事事件、家事事件の交渉と同じです。
一人で進めるより効果的ですし、安心していただけます。
お子さんが突然いなくなった時、ほとんどすべての親は、大きなショックを受けます。
その状態で、役所の組織である児童相談所と対等に話をすることは大変です。
弁護士代理人がいれば、かなり安心できる場合があります。
Ⅱ 児相から一時保護の延長や施設入所を打診されたら この段階になるとかなり厳しい
次に、話し合いでは解決できない場合の対応です。
児相との話し合いがまとまらず、児童が家庭復帰しない場合の対応として、次のものがあります。
1.一時保護解除等の手段
(1)法律上の不服申立手段
一時保護されたお子さんを家庭に取り戻す手段のうち、法律に根拠のある方法として次のものがあります。
※一時保護決定通知の下の方に細かい文字で書いてあることが多いです。
ア 審査請求
一時保護を決定した児相の処分の取消を、県庁や市役所の所管部局に対して求める方法です。
イ 取消訴訟
裁判所に対する訴訟手続になります。児相の行った一時保護決定という「行政処分」の取消を求める方法です。
ウ 一時保護(原則2か月)の延長審判
一時保護が長くなり2ヶ月を超えるが、親権者が延長に同意しない場合、児相は家庭裁判所に審判を申し立てます(児童福祉法第33条)。児相が申立人となり、親権者らは相手方となります。
(2)一時保護を、法的手続(審査請求、訴訟)で争う場合の問題点
アの審査請求、イの取消訴訟
いずれも時間がかかります。
審査請求等の手続きが進む前に、児相が、児童を施設入所の有無について検討し結論を出す期間(2ヶ月)が経過してしまいます。
その場合は、当初の一時保護という行政処分はなくなりますから、却下となります(いわゆる門前払い)。
施設入所等に進むと、既に一時保護は解除されますから、不服を申し立てた「一時保護」という行政処分は存在しません。その結果、存在しない行政処分に対して不服を申し立てることができません。
取消訴訟を提起することも、できません。
不服を申し立てるとすれば、一時保護の後の処分、施設入所措置という行政処分に対する審査請求、取消訴訟になってしまいます。
独立した第三社が判断しない審査請求
そもそもアの審査請求は、行政の中の人である(本庁の)担当部局等が判断しますので、結論が変わることが期待できません。
完全な事実誤認ケースを除き、一時保護決定通知書に記載のアまたはイの不服申立方法を選択することは、お勧めしません。
弁護士費用の無駄になりますので、判断の基礎となった事実誤認が明確なばあいはともかく、やらないほうがいいです。
なお、児相(児相を管理する自治体)に対して、事後に損害賠償を求める制度があります。
国家賠償法に基づく手続きで、地方公共団体に対しても適用があります。
近年、一時保護や面会制限などが違法とされる報道が散見されます。
ただし、あくまでも事後的に金銭的な補填を受けられるだけです。
ウの家庭裁判所の33条審判
次に、ウの「33条審判」です。
当事務所は、あまり意味があるとは思いません。
認められるケースはごく例外的だからです。
ただし、メリットが無いわけではありません。
それは、審判に際して、児相が裁判所に資料を提出することです。
親権者は、これを読むことで、はじめて何が起こっているのかが分かります。
身に覚えのないケースの場合は、延長を不同意にしてください。
ただし、あくまでも例外です。
33審判申立について、裁判所が児相の申立を却下することはほとんどありません。
児相は、主に、さらに調査することが必要と判断して、家庭裁判所に一時保護の延長を申し立てます。
延長の審判は、即時の判断を求められるため、児童と面会するなど、十分な事実調査することはありません。
児相の作成した書面、つまり、児相職員が児童を観察した報告書や心理調査の結果報告、事故は場合は医師作成の診断書や意見書等が、主な判断材料となります。
一般的に行政が作成する書面は、行政機関が決定する内容に沿った、もっともらしい理由となる事実が記載されます。
児相が作成する書面には、一時保護延長が必要な理由、施設入所が児童福祉に最善である理由が、もっともらしい理由をつけて書いてあります。
書面を読めば、施設入所はやむを得ないと思えるような書面です。
ですから、保護者、親権者については、ネガティブなことがたくさん書いてあるはずです。
審判に添付される報告書を読んだ保護者親権者は、悪いことしか書いてない、ここまで酷くないと思うことが多いです。
行政が積極的に事実と異なった資料を作成することは、現在の日本ではほとんどないと見なされています。
実際、ほとんどありません。
ほとんどないから、あればニュースになります。
それだけ例外的だということです。
事実の一部を取り上げ誇張することはあるかもしれません(私見では普通にあります)。
しかし、公務員は、書面に嘘は書かないものです。
裁判所が「一時保護延長の必要性がない」と判断することは、事実誤認が直ちに明らかなケース等を除き、ありません。
以上の理由で、弊所は、一時保護自体や、一時保護の延長を法的に争うことは、重要な事実について誤認がある場合を除き、効果がないと考えています。
(2)施設入所を打診され、同意しない場合(家庭裁判所の28条審判)
① 児童福祉法第28条の審判(施設入所の承認を求める審判)について
一時保護された児童ですが、1週間から10日程度で一時保護が解除される場合もあります。
全国平均は31日程度のようです。
施設入所の場合は2か月近くになることも多いので、家庭復帰の場合は1か月も経たずに戻ってくることが多いと思われます。
2週間を超え、3週間、1か月近く子どもが帰ってこず、児相から解除についての話がない場合は、施設入所が心配になってきます。
施設入所の場合は、一時保護後1か月近く経過するころ、児相の職員が施設入所への同意を打診することが多いようです。
一時保護中の調査に基づき、施設入所がふさわしいと結論したうえでの打診です。
児相によって会議名が異なりますが、児童の処遇を組織決定する会議が、定期的または臨時的に開催させれています。
なお、一時保護直後の段階で施設入所しかありえないと判断される場合もあります。
性虐待、ひどい暴力やネグレクト(食事を与えない、通院させない等)、親権者の反省が皆無のケースのほか、児童本人が大きな問題を抱えているケース等です。
私自身は、児相は、かなり早い段階で方針決定しているように思っています(見込捜査的な)。
親権者が同意しないと、児童相談所は、次のような趣旨の話をして、同意を求めることもあります。
「同意すれば児童と面会できますが、同意しないなら難しい、、、」
28条審判に移行する=児相の言うことを聞かない=連れ去りや、児童に対して不適切な言動をする可能性があるから面会させられない、というような理屈のようです(私見)。ちょっと、どうなんでしょうか。
この段階で、子供と面会できない期間が長期化することをおそれ、同意する方も多くおられます。
親権者が同意しない場合、児童相談所は、家庭裁判所に対して、「親権者の同意に代わる承認」を得るための審判を申し立てます(児童福祉法第28条)。
なお、児童相談所は、28条申立てと併せて、家庭裁判所に対して親権停止の審判を申し立てることがあります。
児童に対する医療的な措置が必要なケース等で、行われることがあるようです。
ちなみに、児相は、基本的にドクターの判断に対して疑念を持つことはしません。
② 28審判の手続
審判は民事訴訟とは異なりますが、調停のような「話し合い」とも異なります。
審判手続きは、書面中心であること、証拠の重要性など、どちらかというと、話し合いである調停よりも、訴訟に似ています。
もっとも、その場で口頭で裁判官に直接長い話をすることはありません。
どちらかというと、裁判官が、親権者に質問をして、親権者が質問に答える、という感じです。
事前に、反論書面を出すこともします。
児相は、児相を申立人、親権者を相手方として、家庭裁判所に、書面で審判を申し立てます。
親権者は、「申立に対する意見書(答弁書)」の提出を求められます。
弁護士が代理人になると、児相の作成した申立書に対する反論の書面を提出したうえで、事前にリハーサルを行い、本番に臨むことになります。
児童相談所が、申立時に裁判所に提出する申立書には、親子分離して施設入所にする必要な理由書いてあります。
添付資料(証拠資料)として、児童との面談記録、心理的調査(心理士、医師)、親権者との面談記録、保育所や学校関係者に対する聴取概要報告、怪我についての医師の診断書や意見書、その他一時保護中に調査・収集した資料も一緒に裁判所に出されます。
施設入所に同意しない親権者は、ご自分の言い分を家庭裁判所に対して説得的に主張していく必要があります。
児相の申立て書面には、方針決定した内容(施設入所等)に沿った、もっともらしい理由となる事実が強調されて書いてあります。
28条審判に添付された報告書を読んだ大抵の保護者親権者は、悪い点しか書いてない、ここまで酷くないと思うことでしょう。
そして、児相を非難する意見書を提出してしまいます。
しかし、主張すべきなのは、家庭が安全な養育環境にあることです。
児相の対応に文句を言っても、意味がありません。
ポイントを外さないためには、専門家の支援が有効な場合が多いように思います。
審判手続きの中で、家庭裁判所の児童に対する専門的な知識のあるスタッフ(家裁調査官)が、児童や児童が通っていた施設関係者等と面会調査を行う場合が多くあります。
面会調査の結果は、審判の判断者である裁判官に報告されます。
審判手続きでは、審問の日が設定されます。
裁判官が、親権者に対して直接質問します。
弁護士は代理人として同席しますが、裁判官に対する回答は、まず親権者がしなくてはなりません。
さて、結果です。児相が行った28条の申立に対して、裁判所が施設入所を認めず、児相の申立を却下することは、多くはありません。
最高裁公表資料「児童福祉法28条事件の動向と事件処理の実情 平成26年1月~12月」
③ 家庭裁判所の28条審判結果に、不満がある場合
家裁の審判に対しては、高等裁判所に、審判の取消と元の申立の却下を求めて即時抗告することができます。
大阪、兵庫など近畿エリアは、大阪高等裁判が対応します。
即時抗告が認められる可能性は、低いのが実態です。
2022年中、弊所で3件即時抗告しましたが、全て認められませんでした。
事実認定については、家裁よりもずっと精緻な印象で、児相の報告書を無批判に引用することは無いように思いますが、結論が変わることは、非常に少ないです。
(3)家庭裁判所の審判が確定した後にするべきこと
① 児相との話し合い
児相との面談等、話し合いの再開となります。
決まってしまったものは、仕方がないですから、一日も早い家庭復帰のために取り組んでいきましょう。
② 法的に争う方法
施設入所そのものも行政処分なので、その取り消しを求めて争う方法はありますが、ハードルが高いです。
(4)損害賠償請求
違法な面会交流に対して損害賠償請求し、裁判所で認められる事例があります。
児童相談所は地方公共団体が運営する機関なので、違法な面会制限などに対しては、国家賠償法に基づく慰謝料請求なども考えられます。
ただし、仮に、児相の判断に客観的に間違ったところがあったとしても、違法性がないとして認められないことがあります。
立証には、高いハードルがあります。
「損害」についても、感覚とはかけ離れた損害賠償額しか認められないことが多いでしょう。(以上)
費用について
※当事務所の一般的な費用については、こちらのページをご覧ください。
1.法律相談
30分5,500円(税込)
初回のみ、上限11,000円
※初回相談は90分程度はかかることが多くなっています。
2.業務をお受けした場合(児相案件は法テラスでの受任はしておりません。)
(1)着手金
(1)児相との交渉 標準的な金額 33万円(税込)
※一時保護の翌日から3日以内に依頼する場合は22万円(税込)
(2)裁判手続 内容によってご相談します。
概ね、審判や訴訟の場合は33万円(税込)をお願いします。
ただし、(1)の交渉から引き続いてお受けする場合、審判は16.5万円、訴訟の場合22万円が基本になります。
(2)報酬金
内容によってご相談しますが、標準的には着手金と同額程度です。
(3)実費
郵便代、印紙代、交通費費などご負担をお願いします。
(4)日当
児童相談所での面会同行、家庭裁判所での期日について、4回目以降は1回11,000円、7回以降は1回22,000円
※遠方の方向け継続助言サービス
遠方の方のために、一時保護後、家庭復帰または28審判申立までの間の継続的な相談サービス(電話等)を提供しています。
児相との話合いが最も重要ですので、協議状況に応じた助言を行います。
費用は、165,000円(税込)です
(注)代理人とは異なりますので、児相職員に直接電話する、書面を送る等はできません。
児相と直接連絡を取り合うことをご希望の場合は、恐れ入りますが通常の費用を申し受けます。
最後に【一時保護直後に気を付けるべきことなど(弁護士の経験からのご助言)】
最後まで目を通してあただき、ありがとうございます。
以下、私がこれまで多数の案件を経験したことに基づき、一時保護直後、職員との初回面談までの間に一読し、参考にしていただきたいことを記載します。
上の記事と重複もありますが、大事なことなのだとご理解ください。
いろいろな意見、感想があると思いますが、一時保護を早期に解除する視点からのご助言です。
1.児童相談所の職員は地方公務員です。子供を家族から引き離すことに個人的なメリットは一切ありません。児相職員に対して、大声やけんか腰で話をしてよい結果が得られることは何一つありません。
1-2.児童相談所は、家庭再統合に向けた活動よりも安全安心確保のための親子分離に重点を置いているように思われます。ただし、安全安心には客観的な物差しがありません。親子分離は、やりすぎるくらいでなければ、万一事故・事件が発生したとき世間が児相を許しません。
1-3.ほとんどすべての児相職員はまじめで誠実、熱心です。
2.一時保護は児相が児童福祉法に基づき、広範な裁量を持って行う行政処分です。解除に大切なことは端的に言うと担当した児相職員の心配を取り除くことです。暴力を正当化する、言い訳や児相批判に終始する姿勢だと、児相職員は心配になってしまいます。現在の実務では、担当ケースワーカーが心配であれば(事実確認を待たずに)一時保護できます。警察とは比較にならない幅広い裁量と、強力な権限があります。児相の辞書に「冤罪」と言う言葉は存在しません。
3.毎日のように電話をするのは止めましょう。長電話も止めるべきです。児相職員はたくさんのケースを抱えており忙しいです。あなたの話を全て記録に残すことはありません。長電話すると、あなたの良くないところが目立ってしまいます。
3-2.長電話すれば、発言のうち不適切な部分のみが切り取られて、記録に残る可能性もあります。
児相の作成する報告書(ケースの経過記録等)は、28条審判の資料として家庭裁判所に提出されます。家庭裁判所ではほぼ「そのまま」引用され、事実認定されることがあります。
4.児相職員に対して「証拠を見せろ」と迫るのは意味がありません。明確な証拠がなくても法律上一時保護は可能ですし、調査するために一時保護したのだから初期の段階で明確なことを言えるはずがありません。事情を把握している場合も、調査対象である親権者に話すとは限りません(刑事事件に発展する可能性のある場合は、なおさらです。)。一般的に公務員は嘘はつかないものです(嘘が判明すると大問題になる)。しかし、知っていることを全部話すことはしません。話さないこと自体が違法になることも、ほとんど考えられません。
4-2.多くの親権者が、「児相は、肝心なところで『黙んまり』を決め込む」という感想を持ちます。児相の説明が変わらない場合、それ以上質問するのは止めましょう。必要なら、個人情報開示請求の手続きで対応しましょう。開示範囲は児相によって様々ですが、最近の役所は、かなり真面目に開示します。一時保護以降の児相と児童とのやり取り、児相と親権者とのやり取りは、ほぼ開示されます。なお、協議がかみ合わなくても、児相と全く音信不通にするのはお勧めできません。
5.児相が行う調査には時間がかかります。一日、二日で児童、学校、親等に対する調査を完了させるのは無理です。児童が落ち着くのに日数がかかる場合もあります。なかなか話をしてくれない児童もいるでしょう。厚生労働省の公開資料によると、一時保護の平均日数は31日程度。兵庫県は全国平均並み。神戸市は14日程度が平均のようです。
6.児相職員との会話を録音し「児相の説明は矛盾している」、「説明がコロコロ変わるから信用できない」、「何も助言してくれない」、その他もろもろクレームをつけることに意味はありません。児相の説明が当初から変わることは多いです。しかし、調べていくうちに分かることもあるわけですから、当初の認識が変わることはあり得ます。また、「どうすれば帰ってきますか」と言う質問に対しては、児相は、回答しないか、あるいは「お母さん(お父さん)が考えてください」等と言います。私見ですが、多分職員もわかっていないんだと思います。
6-2.調査が進むごとに、一時保護ないし施設入所に至る理由が増えていくことがあります。児相は、かなり早い時期に、帰宅方向か施設入所方向かの方針を決めているように思えます(私見)。施設入所方向の場合、一時保護直後から、施設入所が必要である理由となる材料を探す作業をしているかのように思えます。
6-3.早い段階で施設入所の方針を決めた場合、児相が親権者に対して、養育環境の改善について具体的な助言をすることはあり得ません。助言をして改善すれば一時保護解除を検討する必要が生じ、当初の方針=動き出した施設入所のレールを変更することになります。一般的に役所は、分野を問わず、一度決めた方針をなかなか変えようとはしないものです。
7.お子さんが帰ってくるかどうかは「帰宅させて問題のない養育環境かどうか」です。些末なことで児相と争うのはやめましょう。争うよりもご自分を振り返ってください。自分自身の振り返りをする意思と能力があるか否かは、一時保護の早期解除において非常に重要です(私見)。
7-2.児童相談所の職員の中には、取り調べ捜査官のような口調で聴取する人がいます。露骨な疑いの言い方でいろいろと質問されることがあると思います。腹が立つでしょうが、そういう人もいると思ってやり過ごしてください。なお、児相には警察や検察と異なり、黙秘権の告知義務はありません。また、警察から児相に通報された案件だけではなく、保育所や幼稚園が通報した案件であっても、暴力を伴う案件は、児相と警察とで連絡を取り合っている可能性があります。
7-3.暴行事件や傷害事件で、親権者の言い分と被害児童の言い分が異なる場合は、割と簡単に逮捕されることがあります。児童が一時保護されており、児童に働きかけて証拠隠滅する可能性がなく、刑事訴訟法の勾留要件(法60条)を満たさないように思われる事案であっても、逮捕されそのまま勾留されることは、普通にあります。
8.一時保護に至った主要な原因が親には無いがあります。養育が非常に難しい特性の児童もいます。しかし、児相は、保護者の苦労を保護者に有利に配慮することはしません。
8-2.このため、親から見ると、理不尽に感じることがあります。「あなたなら育てられるんですか!」と言いたくなります。しかし、児童の立場に立てば、養育環境に何らか問題が生じているわけです(自分のせいではないとしても)。ここは、「何らかの問題が存在していることを認識しており、かつ、その原因の一部が自分にあるかもしれない」という姿勢を見せるのが、賢明でしょう。
「自分に原因があるかもしれない、そうだとすれば、、、、〇〇したこと(言ったこと)は良くなかった、△△すべきだったかもしれない」という想像力は重要です。「もしかしたら」、「かもしれない」という発想ができることを児相職員に示すことは重要です。
8ー3.暴力を伴う虐待事案の中にも、様々な類型があります。酷いイジメとしか考えられない事案もありますが、子育てに熱心なあまりやりすぎてしまい、偶発的に傷害結果が生じるケースもあります。児相は、後者だから必ずしもゆるく対応することはしませんので、注意してください。あくまでも児童目線です。
9.児童に問題があるケースでは、児相が一時保護し引き続いて施設入所措置したからと言って、児童の問題が全て解決するとは限りません。うまくいかないケース、かえって悪化するケースもあるでしょう。しかし、児相が、施設入所は失敗だったと認めることは絶対にありません。役所が、役所の仕事は間違っていたと認めることは、客観的に明らかなケース(地方税の計算間違い、公立病院の明瞭な医療ミス等)を除くと、ありません。
10.児童福祉に関係する行政機関はたくさんあります。重要な機能を担う民間施設もたくさんあります。問題は、いったん児相が関与すると、児相の視点(世間の空気となっている過剰な安全安心の視点)が全体を支配し、子供の総合的な福祉、将来にわたる幸せ、親子関係の中での成長などの普通の視点が捨て去られてしまうことです(私見)。一時保護を決定した児相の方針に反対意見を述べる別の機関や施設は、存在しません(一部の公共団体には第三者委員会があるようです。)。
10-2.重大な問題が起これば世間からのバッシングは児相に向かいます。児童の死亡事案が発生すれば、児相は袋叩きにあいますし、職員には懲戒リスクが生じます。一般に、公務員は(首長は別として)結果責任を負わないのですが、児相職員は例外のように思えます。実際に懲戒事例はあります。やむを得ない事情があっても、役所の人事部門は世間の空気を基準に懲戒するかもしれません(死亡事案であればなおさら)。その意味合いにおいて、児相及び児相職員対しては同情すべき気の毒な面があると、私は思います。
10-3.児相が、もう少し親権者にも寄り添えるようにするには、職員が余裕をもって業務できる環境が必要だと思います。長時間労働の改善、きちんと年休(民間企業の有給)を取れる人員配置(職員増)、人事や財政などの管理部門よりむしろ優遇された昇給慣行、大変な業務に応じた特別手当、過度なクレーマーから職員個人を保護する仕組み(職員を守る役割としての弁護士の配置等)など、職場環境及び児相職員の待遇改善の両方が必要だと思います。
10-4.あわせて、一時保護や施設入所で子と離れた親をケアする仕組みも必要なように思います。子供が一時保護ないし施設入所になった親をケアする制度は、現状ありません。親権者としては辛い環境が長期にわたって続きます。児童に対するかかわりには関係機関のネットワークがあるのでしょうが、親権者は保護対象外です。
11.自分の問題点は自分では分かりにくいものです。児相職員の言い分を頭から否定するのではなく、聞いて、理解しようとしてください。このホームページでは児相に対して批判的なトーンで書いていますが、児相との関係がこじれているケースのうち、児相の対応が全くおかしいと思われるケースは、ほとんどありません(100件に1件あるかないか。個人的な経験では2件のみ)。
12.何を言っているかよくわからない職員はいます(どこの会社、団体でも、そういう人はいます。)。また、ケガの原因がはっきりせず虐待の有無が判然としな場合があります。「よく分からない場合はとりあえず一時保護する」のが今の実務です。一時保護直後は、児相職員の事実確認は不十分なことがあります。児相としても、だんだん全体が明瞭になります。ですから、児相職員の説明がよく分からなかったり一貫しないことは、当然にあります。
13.児相は、嘱託医その他医師の判断には極めて従順で、医師の意見はほぼ絶対です。親からすれば、まったくの見当はずれなことがあります。医師の所見が間違っていると、親としては「絶対に違う!」と言いたくなる場合もあるでしょう。その場合でもキレないようにしてください。児相との交渉は減点性のゲームです(私見)。
なお、医師の指示に従わないケースでは、かなり高い確率で一時保護から施設入所となります。場合によっては、親権停止の申立がなされる可能性があります。
14.地方議会の議員に児相に対する働きかけを依頼しても効果はありません。印象としてはマイナスです(私見)。
15.不服審査申立は、ほとんど全て意味がありません(私見)。第三者機関のある自治体なら、そちらを利用すべきです。家庭裁判所の一時保護延長の承認審判も、延長阻止・一時保護委解除を目的にするなら、ほとんど意味がありません。承認審判では子供に面会調査することはありません。裁判所は現場を知らないので、行政機関である児相が継続調査が必要と言ってきたのに、不要だと言い切れるわけがないのです。
15-2.審判になると児相側が裁判所に「延長が必要である理由」として経過記録などの資料を出してくるので、親の側としては、ようやく全体像がわかるという効果はあります。
16.一時保護されると例外なく施設入所になると心配する方がいます。そうではありません。厚生労働省の公開資料によると2019年の一時保護件数は全国で約5万件。同年中の解除件数が約3万件。解除後の施設入所は約5000件です。一時保護児童の80%以上は、解除後は施設入所や里親委託にはならず家庭復帰していると思われます。
17.当事務所は、一時保護の早期解除のためには①暴力や暴言・ネグレクト・態度による無言の抑圧等を認めて、②反省し、③改める、の3ステップが基本的に重要かつ必要と考えています。もちろん、まったくの事実誤認であれば、きちんと冷静に話をしなくてはなりませんが、暴言や暴力があったのなら、認めなければ始まりません。
17-2.事実が明らかなのに虐待を認めなければ、児相は、「児童の親は振り返りができない人、暴力を正当化する人、よって一時保護解除の話ができる前提にない」と考えるでしょう。自分以外の誰かのせいにする姿勢を示すのもよくありません。振り返りも反省もしない、改善しようとする意思のない人だと思われてしまいます。
17-3.実際には、第三者(例えば配偶者)に問題がある場合はたくさんあると思います。また、児相ないし行政の子育て部門の助言を受けて対応した結果、児童の生活状況が悪化したケースもあるでしょう。しかし、その場合も、児相との面談では、「子供はどう思っていたのだろうか」、「自分にも何か問題が無かったのだろうか」など、自分事としての想像力をもって考える姿勢を示すべきでしょう。自分をかばい、他者を攻撃する言動は控えることをお勧めします。
18.あなたが、振り返りや反省ができる人で、子供の気持ちを想像することができる人であり、かつ、児相の指導に従うことのできる人だ、ということを、一時保護直後の初期の段階で、児相職員に分かってもらう必要があるように思われます。児相は、かなり初期の段階で心証形成します(私見)。第一印象で×がつくと、修正が厄介です。
19.原則として、児相には正直に話をすることをお勧めしています。注意点として、刑事事件と表裏の関係にあることです。
暴力を伴う虐待事案は刑事事件に発展する場合があります。長期服役が予想される類型の事案もあります。児相には黙秘権の告知義務はありません。他方で、暴力を伴う虐待事案では警察と情報交換していると考えてください。
19-2.身体的な暴力、傷害結果が生じたケースでご相談に来られる場合は、的確な助言をするため、不都合な事実も隠さずに話していただくことをお勧めします。刑事事件は児相問題への対応はと全く別の対応が必要です。
20.一時保護後、ご夫婦で相談を希望されることがあります。しかし、利益相反する可能性がありますから一人で相談に来ていただくことを強くお勧めしています。ご夫婦で来られた場合、後で意見や利害関係が対立すると、どちらか一方の代理人として児相と話をすることはできません。
なお、親権者以外の方(例:児童の祖父母)が同席しての相談は例外なく全てお断りします。親権者のご希望を確認できないことや、物事がこじれて解決が遠のくことがあるからです。
21.経験上、一時保護された直後に相談してくれていれば、ここまで児相とこじれることはなかっただろうと思うことが、大変多いです。
22.弁護士が代理人として児相と話し合いをすることについては、意見があるかと思います。
私自身は、親権者が単独で対応するよりも良い結果が生じることが多いと考えています。しかし、弁護士代理人が就いたから必ずうまくいくとは限りません。
例えば、親権者が、児童に対する暴力について抵抗感がないのであれば、弁護士が代理人として児相と話し合いをしても、うまくいくわけがありません。当たり前のことです。
重大な暴力等を伴わない虐待事案であっても、結果的に児童に大きな影響が生じている場合は、迅速な家庭復帰が難しい事は多いです。
23.お子さんが突然いなくなったときの不安感、焦燥感、絶望感、くやしさ、辛さは相当なものです。
そして、一定の割合で、長期の親子分離になることはあります。
児相というブラックボックスに戸惑っておられる場合は、お早めに弁護士にご相談ください。以上