弁護士が児童相談所案件に対応します(一時保護解除直後のアドバイス、解除のための交渉、児童福祉法33条・28条審判、違法な面会制限に対する賠償請求など)。

 

 

 

 

【お願い】初回お問い合わせはメールでお願いします。電話相談は、例外なくお受けしません。

児相案件は、離婚問題等と比較しても手間がかかるうえ、刑事事件以上に迅速な対応が必要なことがあります。

 

児相案件に親権者側で対応する弁護士がほとんどいない一方、現在の児相の業務には問題が多いと感じているのでご相談を受けています。

 

弊所のキャパシティの関係で、実際にお受けしているのはご相談をいただいたケースのごく一部です。

 

お受けできないことの方が多いのが実態ですので、あらかじめご承知おきください。

 

 

 

1.児童相談所への対応について法律相談をご希望の場合は,メールで,からの基本情報を連絡してください。

 

 面談相談日等について、お送りいただいたメールアドレスに返信します。

 

 なお、メールでの相談対応は行っておりません。電話相談は、遠方の方についてお受けする場合があります(その場合もまずはメールでご連絡お願いします。)。

 

 法律相談は、対面相談、電話相談とも有料相談となります(初回原則11,000円(税込))

 

 

 

.メールの件名は,「児相案件(お子さんの氏名)」としてください。(お子さんの氏名)ですが、複数のお子さんが一時保護された場合は「〇〇〇〇ほか〇名」等と記載してください。

 

  あなたの住所、氏名、連絡先電話番号

 

  あなたの生年月日

 

  一時保護等されたお子さんの氏名及び生年月日

 

  のお子さん及び保護者の心身の健康状態(障害の概要等)

 

  家族構成(あなた及びのお子さんを除くご家族(例えば配偶者、児童の兄弟姉妹)の氏名と年齢)

 

  児童相談所名

 

  一時保護の年月日

 

  一時保護の理由について、心当たりがあること

 

  に対する、あなたの意見・言い分

 

  現在の段階(一時保護中(以前にもあれば、何回目か),一時保護延長打診、一時保護延長審判申立、施設入所打診,28条審判申立,即時抗告,施設入所(里親)済,その他(親権停止・喪失審判等))

 

  法律相談(面談)の希望日時 できれば3日ほど、希望日時をお願いします(原則として平日10時~17時)。遠方の方は電話相談ご希望日(お急ぎだと思いますが、当日対応困難なことが多いです。)

 

3.時系列メモ作成のお願い

 

法律相談のため来所される場合は、一時保護決定書、時系列でまとめたメモなどを持参していただければ、効率的にご助言できます。

 

 

 

 

児童相談所の業務、一時保護等についての一般的な情報(参考webサイト)

1.児童相談所の業務内容全般について

 

   東京都が公開している「児童相談所のしおり」が詳しく、参考になります。

 

 

当事務所の業務(概要)

1.弁護士がお手伝いできること

 

 (1)児相との交渉の代理人業務

 

児相に書面を送ったり、依頼者と児童相談所との協議に同席し、家庭復帰のサポートをします。

 

 

児相との協議の前に、児相が気にするポイントをご説明し、依頼者の言い分や希望が児相職員に伝わるよう事前に打ち合わせをします。

 

 

 

(2)裁判所の手続きにおける代理人業務

 

 

親権者が一時保護の延長や施設入所などに同意しない場合、児相は,親権者の同意に代わる承認を求めて家庭裁判所に審判申立をします。

その手続きの代理人として、答弁書や意見書の作成、審判への出席、結論に不服のある場合の高等裁判所への即時抗告などの事務を代理人として行います。

 

各論(具体的な方法・手続き)と当事務所の業務

Ⅰ 一時保護解除のための具体的な方法①・交渉段階

 

お子さんが一時保護されると、児相は保護者に、一時保護の決定書を渡します。その決定書には、決定を不服とする親権者のために、行政不服審査や取消訴訟についての簡単な説明が書いてあります(教示)。

 

審査請求や取消訴訟は、重要な点で明らかな事実誤認があるケース、つまり刑事事件でいう冤罪ケースでは、申請請求を申し立てたほうがよいこともあるでしょう。

 

しかし、弊所は、一時保護直後に裁判手続で争うことはお勧めしていません。時間がかかり、かつ、効果が乏しいことが多いです。

 

早期の家庭復帰を目標にするのであれば、裁判所の手続きに移行する前の段階で、児童相談所と話し合う方が、効果が高いです。

 

 

 

1.児相との交渉段階

 

(1)法的紛争になる前の解決が現実的

 

 そもそも、行政機関である児相には、広範な裁量が認められています。

家庭裁判所で争った場合も、児相の言い分を全部認めなくても、結論として、「児相の裁量に逸脱はない」とされやすい傾向にあります。

②また、親権者が大変頑張って養育されているケースであっても、児童自身に、専門的な指導訓練や医療措置などが必要な場合もあります。 こうした場合、児相の協力を得て、時間をかけて問題解決することが必要です。

養育環境や児童の特性に何らかの問題がある場合、児童相談所との継続的な協力関係の構築が必要となってきます。誰が悪いわけでなくても、必要なことは必要です。児相と話し合い、家庭復帰後の生活環境に問題がない環境づくりを進めていく必要があります。 

 なお、事実誤認がはなはだしく、間違った認識に基づいて施設入所措置をしようとしている場合には法的な対応が必要です。

 

 

 

(2)児童相談所と、どう向き合うか(基本的な対応)

 

① 一時保護直後の親権者

 

子供が一時保護された親権者の多くは、何から手を付ければよいか分からない状況になりがちです。

一方の親権者が気付かない間に、他方親権者(配偶者)がお子さんを虐待していたケースでは、離婚問題に発展することもあります。

全く解決の道筋が見えなくなることもあります。

 

 

 

② 児相職員と親権者の関係

 

   児相職員は、非常に忙しいです。

 

かなりの長時間勤務、時間外勤務をしながら、仕事をしています。

 

出張や面談をした後、デスクワークも膨大にあります。

 

職員一人で数十人を担当し、忙しい中、次から次へと、既存案件と新規案件に対応しなくてはなりません。

 

限られた時間で、子どもを落ち着かせ、じっくりと話を聞かなくてはなりません。

 

親権者から話を聞くのは後回しになりがちです。

 

話を聞いてくれたとしても、基本的に、親は「調査対象」です。前提事実は、子供が発する言葉が基本です(誘導的になされるケースもあるようです。)。

 

親権者が、「どうしたら、子どもを返してくれるのですか?」と尋ねても、明確な回答が返ってくることはありません。

 

 

 

一時保護期間中、特に初期には子どもとの面会はできません。

 

事実上、担当ケースワーカーの抽象的な不安感が払拭されない限り、面会制限が続きます。

 

親権者は、情報も入らず、児相からは疑いの目で見られ、何を話しても「現実を見ていない」「自己を正当化する」等と決めつけられるように感じます。

 

 子育てに悩み児相に相談したことを契機に一時保護されるケースでは、児相に裏切られた気持ちになります。

 

  悩みを相談している最中に、例えば「このままでは何をしでかすか分からない」「殺してしまうかもしれない」等の発言があれば、一時保護に直結しますし、施設入所方向に大きく傾く可能性が高まります(アセスメントシート参照)。

 

 児相に相談したばかりに、子供と引き離されたと思っている方は多いと思います。

 

  

 

③ 悪循環

 

一時保護された後は、児相に対する疑念が膨らみ、反感が強まり、児相職員との冷静な話し合いが困難になっていくことがあります。 

 

大きな声で児相職員に詰め寄る、頻繁かつ長時間電話をかけてしまうなど、することがあります。  

 

 

 

児相職員から見れば、「自分を顧みることのできない親のいる家に、帰すわけにはいかない」となってしまうかもしれません。あくまでも児童目線ですから、帰宅させると児童の安全安心が確保できないと結論づけられてしまうリスクを高めます。 

 

ケースワーカーらが作成する書類(報告書の類)にも、親権者のマイナス面が強調される可能性も高まります。 その資料は、28条審判の証拠資料として使用されます。 28条審判が却下になる可能性は低いです。高い確率で、施設入所が認められます。

 

 

 

④ 児相との接し方(基本的姿勢)

 

   児相の職員は、いたずらに親子を分離しようと考えてはいません。

 

できるなら、早期に家庭復帰させたいと考えているはずです。

 

児相職員は公務員であり、件数を上げれば給与が増えるわけでもありません。

 

この仕事が大好きな職員は、ほとんどいないと思います。

 

件数を上げて昇進したいと考える職員も、いないと考えていいと思います(児相は、そういった組織ではありません。)。

 

件数を上げれば国からの補助金が増額するからノルマがあると思っている方がおられますが、そのようなことを気にする職員は、まずいません。

 

予算、行革、監査などは、本庁の管理部門の一部の者が気にすることで、現場の一般職員には関係のないことです。

 

ただし、地方公共団体が運営する施設の定員については、行革の対象や監査の指摘事項になるリスクを気にする場合はあり得るかもしれません(一定数の確保など)。

 

児相職員は、通報を受けた場合や、相談に来た親権者の話から一時保護が必要と判断した場合、「仕事として」動きます。

 

問題がある家庭で養育されている児童はたくさんいますが、行政が実際に関与するケースはごく一部、氷山の一角です。

 

役所には、「知ってしまったら関与せざるを得ない」面があります。

 

いったんケースにかかわると、児相の職員はマニュアル通りに、聴取項目を親権者に質問しています。

 

仕事として事情聴取するのですから、文句を言っても意味がありません。

 

児相職員の負担を増やすだけで、有利になることはあり得ません。

 

ですから、児相での面談、特に初回の面談では、まずは児相の職員の説明や質問に耳を傾け、話しを聞くことが大事です。

 

その際の注意事項として、最低限、暴力を絶対に正当化しないこと、一時保護の理由について思い当たる事実を考えてみること、言い訳に終始せずふりかえって改善すべき点があれば改善する意思があることを示すこと(自分を振り返ることなく一方的に子供を返せと言わないこと)は、留意するのが賢明です。

 

自分一人では解決できない場合は児相を含めた関係機関を頼り、子どもが家に帰ってくるための環境整備を行なってください。

 

関係機関が関与したから状況が悪くなったと考えている方も多いと思われます。

 

 

 

児相職員と話すのが苦痛な児童は存在します。

 

児相職員の中には、家庭の中のストレスで話ができない状態だと決めつける職員がいるかもしれません。

 

法律相談ではよく聞く話です。しかし、それでももう一度、冷静に振り返ってみましょう。

 

児相からは、「長期にわたる不適切な親子関係の改善」など、抽象的で具体的に何をどう改善すればよいのか分からない、かえって混乱する助言しか得られない場合があります。

 

むしろ、その方が多いように見受けられます。

 

このことが、児相と親権者間がこじれてしまう原因の一つだと思われることがあります。

 

しかし、だからと言って話し合いを中断するのは、解決を遠のけます。

 

とりあえず、話を聞きましょう。

 

 

 

⑤ 弁護士の支援が効果的なケース

 

   児童相談所は都道府県や市役所の地方機関の一つで、大きな組織ですから、人事ローテーションもあります。職員にも様々な方がいます。民間企業と同じです。

 

 ほとんどの職員の方は熱心で親切ですし、公平・冷静ですが、コミュニケーション能力や事務処理能力に、いささか問題がある職員がいるかもしれません。

 

熱心さのあまり思い込みの強い方がいるかもしれません。

 

人間同士なので、性格が合わないこともあります。

 

担当ケースワーカーは常識的な職員であっても、上司に問題のある場合もあり得ます。

 

また、組織はどうしても、一度決まった方針を変えにくいものです。

 

こうしたこともあり、いったん施設入所の方向に傾くと、早期の家庭復帰に向けた話し合いの余地が狭くなりがちです。

 

コミュニケーションがうまく取れないなど、悪い条件が重なると、児相と普通に話をすることすら、しんどくなってきます。

 

お子さんが急にいなくなって、冷静に対応すること自体が大変なのに、児相職員と円滑に話ができないと、疲れてしまいます。

 

   児相との冷静な話し合いが難しい場合は、弁護士の関与が役に立つ場合があります。

 

 

 

⑥ 児相との交渉段階で、弁護士が介入するメリット 

 

弁護士は、裁判をするだけではなく、様々な交渉をします。

 

損害賠償請求、債権回収などはもちろん、離婚事件や刑事事件の示談交渉などです。

 

弁護士が、児童相談所を相手方として行うことは、基本的にこうした交渉と同じです。一人で進めるより効果的ですし、安心していただけます。

 

お子さんが突然いなくなった時、ほとんどすべての親は、大きなショックを受けます。

 

その状態で、役所の組織である児童相談所と対等に話をすることは大変です。

 

弁護士代理人がいれば、かなり安心できる場合があります。

 

 

 

お困りでしたら、児童相談所との任意交渉をご検討ください。

 

相談の結果必ず受任するとはお約束できません。

 

 

 

以上が交渉段階の進め方となります。

 


 

Ⅱ 一時保護解除のための具体的な方法 家庭裁判所

 

 次に、話し合いでは解決できない場合の対応です。

 

児相との話し合いがまとまらず、児童が家庭復帰しない場合の対応として、次のものがあります。

 

(ご注意)以下は、分かりやすさ優先で書いています。用語は必ずしも正確ではありませんし、法律の条文は省略等していますので、ご注意ください。

 

 

 

1.一時保護解除等の手段

 

 ① 法律上の不服申立手段

 

一時保護されたお子さんを家庭に取り戻す手段のうち、法律に根拠のある方法として次のものがあります。

 

※一時保護決定通知の下の方に細かい文字で書いてあることが多いです。

 

 

 

ア 審査請求

 

一時保護を決定した児相の処分の取消を、県庁や市役所の所管部局に対して求める方法です。

 

 

 

イ 取消訴訟

 

裁判所に対する訴訟手続になります。児相の行った一時保護決定という「行政処分」の取消を求める方法です。

 

 

 

ウ 一時保護(原則2か月)の延長審判

 

一時保護が長くなり2ヶ月を超えるが、親権者が延長に同意しない場合、児相は家庭裁判所に審判を申し立てます(児童福祉法第33条)。

 

児相が申立人となり、親権者らは相手方となります。

 

 

 

② 法的手続きの限界

 

(審査請求、訴訟)

 

まず、アの審査請求やイの取消訴訟は、いずれも時間がかかります。

 

審査請求等の手続きが進む前に、児相が、児童を施設入所の有無について検討し結論を出す期間(2ヶ月)が経過してしまいます(一応の結論はもっと早く出していると思われる。)。

 

施設入所等に進むと、既に一時保護は解除され一時保護処分はなくなっているので、一時保護について不服を申し立てることや、取消訴訟を提起することはできません(存在しない処分だから)。

 

 

 

労力に対して効果が乏しい可能性が大きいです。

 

 

 

そもそもアの審査請求は、中の人である行政が判断しますので、結論が変わることがほとんど期待できません。

 

完全な事実誤認ケースを除き、一時保護決定通知書に記載のアまたはイの不服申立方法を選択することは、お勧めしません。

 

 

 

なお、児相(児相を管理する自治体)に対して、事後に損害賠償を求める制度があります。

 

国家賠償法に基づく手続きで、地方公共団体に対しても適用があります。

 

ただし、あくまでも事後的に金銭的な補填を受けられるだけです。

 

 

 

33条審判) 

 

次に、ウの「33条審判」です。

 

当事務所は、親権者から見てあまり意味があるとは思いません。認められるケースはごく例外的だからです。

 

 

 

ただし、メリットはあります。

 

それは、審判に際して、児相が裁判所に資料を提出することです。

 

親権者は、これを読むことで、はじめて何が起こっているのかが分かります。

 

身に覚えのないケースの場合は、延長を不同意にしてください。

 

ただし、あくまでも例外です。

 

 

 

繰り返しますが、33審判申立について、裁判所が児相の申立を却下することはほとんどありません。

 

児相は、主に、さらに調査することが必要と判断して、家庭裁判所に一時保護の延長を申し立てます。

 

延長の審判は、即時の判断を求められるため、児童と面会するなど、十分な事実調査することはありません。

 

児相の作成した書面、つまり、児相職員が児童を観察した報告書や心理調査の結果報告、事故は場合は医師作成の診断書や意見書等が、主な判断材料となります。

 

 

 

一般的に行政が作成する書面は、行政機関が決定する内容に沿った、もっともらしい理由となる事実が記載されます。

 

児相が作成する書面には、一時保護延長が必要な理由、施設入所が児童福祉に最善である理由が、もっともらしい理由をつけて書いてあります。

 

書面を読めば、施設入所はやむを得ないと思えるような書面です。

 

 

 

ですから、保護者、親権者については、ネガティブなことがたくさん書いてあるはずです。

 

審判に添付される報告書を読んだ保護者親権者は、悪いことしか書いてない、ここまで酷くないと思うことが多いです。

 

 

 

行政が積極的に事実と異なった資料を作成することは、現在の日本ではほとんどないと見なされています。

 

実際、ほとんどありません。

 

ほとんどないから、あればニュースになります。

 

それだけ例外的だということです。

 

 

 

事実の一部を取り上げ誇張することはあるかもしれません(私見では普通にあります)。

 

しかし、公務員は、書面に嘘は書かないものです。

 

裁判所が「一時保護延長の必要性がない」と判断することは、事実誤認が直ちに明らかなケース等を除き、ありません。

 

 

 

以上の理由で、弊所は、一時保護自体や、一時保護の延長を法的に争うことは、重要な事実について誤認がある場合を除き、効果がないと考えています。 

 

 

 

(2)一時保護の次のステージで争う方法(家庭裁判所の28条審判)

 

① 28条審判について

 

一時保護された児童ですが、1週間から10日程度で一時保護が解除される場合もあります。

 

全国平均は31日程度のようです。

 

施設入所の場合は2か月近くになることも多いので、家庭復帰の場合は1か月も経たずに戻ってくることが多いと思われます。

 

 

 

2週間を超え、3週間、1か月近く子どもが帰ってこず、児相から解除についての話がない場合は、施設入所が心配になってきます。

 

 

 

施設入所の場合は、一時保護後1か月近く経過するころ、児相の職員が施設入所への同意を打診することが多いようです。

 

一時保護中の調査に基づき、施設入所がふさわしいと結論したうえでの打診です。

 

 児相によって会議名が異なりますが、児童の処遇を組織決定する会議が、定期的または臨時的に開催させれています。

 

 

 

なお、一時保護直後の段階で施設入所しかありえないと判断される場合もあります。

 

かなりひどい虐待ケース、親権者の反省が皆無のケースのほか、児童本人が大きな問題を抱えているケース等です。

 

私自身は、児相は、かなり早い段階で方針決定しているように思っています(見込捜査的な)。

 

 

 

親権者が同意しないと、児童相談所は、次のような趣旨の話をして、同意を求めることもあります。

 

「同意すれば児童と面会できますが、同意しないなら難しい、、、」

 

 

 

この段階で、子供と面会できない期間が長期化することをおそれ、同意する方も多くおられます。

 

 

 

親権者が同意しない場合、児童相談所は、家庭裁判所に対して、「親権者の同意に代わる承認」を得るための審判を申し立てます(児童福祉法第28条)。

 

 

 

申立があると、家裁で、双方の言い分を主張することになります。

 

 

 

なお、児童相談所は、28条申立てと併せて、家庭裁判所に対して親権停止の審判を申し立てることがあります。

 

児童に対する医療的な措置が必要なケース等で、行われることがあるようです。

 

 

 

② 28審判の手続

 

審判は民事訴訟とは異なりますが、調停のような「話し合い」とも異なります。

 

 

 

児相は、児相を申立人、親権者を相手方として、家庭裁判所に、書面で審判を申し立てます。

 

親権者は、「申立に対する意見書(答弁書)」の提出を求められます。

 

審判手続きは、書面中心であること、証拠の重要性など、どちらかというと、話し合いである調停よりも、訴訟に似ています。

 

 

 

児童相談所は、親や家庭から分離させて児童を施設入所させる必要性があることを、書面で裁判所に説明していきます。

 

 

 

児童との面談記録、心理的調査(心理士、医師)、親権者との面談記録、保育所や学校関係者に対する聴取概要報告、怪我についての医師の診断書や意見書、その他一時保護中に調査・収集した資料を、証拠資料として裁判所に提出します。

 

 

 

施設入所に同意しない親権者は、ご自分の言い分を家庭裁判所に対して説得的に主張していく必要があります。

 

児相の申立て書面には、方針決定した内容(施設入所等)に沿った、もっともらしい理由となる事実が強調されて書いてあります。

 

28条審判に添付された報告書を読んだ大抵の保護者親権者は、悪い点しか書いてない、ここまで酷くないと思うことでしょう。

 

そして、児相を非難する意見書を提出してしまいます。

 

 

 

しかし、主張すべきなのは、些細な事実ではなく、もっと骨太な、家庭が安全な養育環境であるかどうかです。

 

児相の対応に文句を言っても、意味がありません。

 

ポイントが外れた反論をたくさん見てきました。

 

ポイントを外さないためには、専門家の支援が有効な場合が多いように思います。

 

 

 

審判手続きの中で、家庭裁判所の児童に対する専門的な知識のあるスタッフ(家裁調査官)が、児童や児童が通っていた施設関係者等と面会調査を行う場合が多くあります。

 

 

 

審判手続きでは、審問の日が設定されます。

 

裁判官が、親権者に対して直接質問します。

 

弁護士は代理人として同席しますが、裁判官に対する回答は、まず親権者がしなくてはなりません。

 

 

 

さて、結果です。

 

児相が行った28条の申立に対して、裁判所が施設入所を認めず、児相の申立を却下することは、多くはありません。

 

最高裁公表資料「児童福祉法28条事件の動向と事件処理の実情 平成261月~12月」 

 

 

 

 ③ 家庭裁判所の審判結果に対する不服申立

 

家裁の審判に対しては、高等裁判所に、審判の取消と元の申立の却下を求めて即時抗告することができます。

 

大阪、兵庫など近畿エリアは、大阪高等裁判が対応します。

 

即時抗告が認められる可能性は、低いのが実態です。

 

 

 

2022年中、弊所で3件即時抗告しましたが、全て認められませんでした。

 

事実認定については、家裁よりもずっと精緻な印象で、児相の報告書を無批判に引用することは無いように思いますが、結論が変わることは、非常に少ないです。

 

 

 

(3)家庭裁判所の審判が確定した後の手段

 

① 児相との話し合い

 

  児相との面談等、話し合いの再開となります。

 

② 法的に争う方法

 

  施設入所そのものも行政処分なので、その取り消しを求めて争う方法はありますが、ハードルが高いです。

 

 

 

()損害賠償請求

 

    違法な面会交流に対して損害賠償請求し、裁判所で認められる事例があります。

 

  児童相談所は地方公共団体が運営する機関なので、違法な面会制限などに対しては、国家賠償法に基づく慰謝料請求なども考えられます。

 

  ただし、仮に、児相の判断に客観的に間違ったところがあったとしても、違法性がないとして認められないことがあります。

 

立証には、高いハードルがあります。

 

「損害」についても、感覚とはかけ離れた損害賠償額しか認められないことが多いでしょう。

 

(以上)

 

 


費用について

 

ご相談 30分6,600円

 

着手金 

児相との交渉 標準的な金額 33万円(税込)

裁判手続 応相談

 

報酬金

着手金と同額ないし応相談